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和泉との出会いについて書く。

中学を卒業した僕は、周囲の不和という思春期特有のありきたりな理由、そして、こらえ性の無い性格とが災いして、どこにも行き場がなくなってしまっていた。
高校受験もせず、就職もせず、ただ町をふらふらしているのがやるせなかった。
僕は空虚さを埋めるため、弱そうなガキを捕まえて金を巻き上げてまとまった金を作っていった。

金だけ持って新庄駅から鈍行に揺られて東京まで着いた。
最初は新幹線で行こうと思ったが、途中で気が変わってキセルに切り替えた。少しでも節約しなければと思ったからだ。
何度か車掌が見回りが来たが、うまく席を外して誤魔化した。
東京駅でも、ホームの端の方から外に出られそうだったので、人が多い時間帯にドサクサに紛れて外に出られた。
誰もそんなことをするとは思ってないから余裕だ。

何も持っていない上京者らしく、やがて山谷のドヤ街に流れ着いた僕は、肉体労働とその後の安酒、そして睡眠、という生活を繰り返していた。
それなりに充実してはいたが、周囲の人は現場の事故で体の一部が欠けている者も多くいた。
同じくらいに流れ着いたものはローラー車の下敷きになって亡くなったりもした。

そんなとき、いつも現場で顔を合わせる若い衆に、吉原の話を聞いたのだった。
山谷のすぐ近くにあるその赤線地帯では、新規の店を建てるケースも多いため、呼び込みやら受け付けやらを募集しているということだった。

さっそく僕は吉原に足を向け、手当たり次第に店に入り、募集はないか聞いて回った。

ある老舗でちょうど人手が足りないということだったので、とりあえずそこで働くことにした。
山谷とはもうおさらばだ。

初めに掃除担当になった。

初日、指定された部屋に入り、僕は部屋を整理してゴミをまとめていた。
そんなときに後ろから女に声を掛けられた。なんとも甘い声だった。

「坊や、なかなか可愛い顔してるわね」

それが和泉だった。



=高橋靖弘=
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コメント

どんなんですかこれ・
---------- Izm [ 編集] URL . 06/08, 11:19 -----
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